2012年08月31日

TBAO2012出演者一部変更のお知らせ

いよいよ明日からTBAO2012コンサートツアーが開始となります。
大変急ではありますが、以下のように出演者の一部が変更となりましたので、お知らせ致します。
なお、東京赤坂ビーフラットのご予約受付(残り僅か)、横浜東神奈川かなっくホール、甲府桜座の各公演前売りチケット販売は未だ行なっておりますので、お済みでない方は今直ぐ!

萱生昌樹(サックス)に代わりまして、野猶幸(8/31、9/1、9/2)
朝里勝久(バス・トロンボーン)に代わりまして、高本紘行(8/31、9/1のみ)


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2012年08月19日

コンサート・プログラムの紹介その5「Cubano Be Cubano Bop」

TBAO2012コンサート・ツアーでは、
TBAO2012 Plays Music of Bach, Ellington, Russell and Others
〜アンサンブルの進化と変遷1〜
と題して、主に、過去100年程のジャズの歴史の中から、ラージ・アンサンブルの為に書かれた作品を選んで、時代、年代が進むにつれて、どのような変化を遂げていったのかを聴いて頂けるような選曲を企画しています。そこで、このブログでは、演奏予定の楽曲のプログラム・ノートを少しずつご紹介していきます。

Cubano Be Cubano Bop
composed and arranged George Russell



ジョージ・ラッセル(1923〜2009)は、ドラム奏者として音楽家のキャリアを開始して、ベニー・カーター等と演奏した後、チャーリー・パーカーに自己のグループへの参加を求められるようになりましたが、結核のため入院治療を余儀なくされ、1945年から46年に掛けての16ヶ月に渡る2度目の長期入院期間中に、ジャズ・ミュージシャンが遺した最も最初の理論書の1つである「Lydian Chromatic Concept of Tonal Organization(調性組織におけるリディアン・クロマティック・コンセプト)」の基本となるアイデアをまとめました。
この本の初版は1953年に自費出版されましたが、その後ジャズ・ミュージシャンだけではなく、現代の作曲家に広く読まれ、影響を与えています。



ラッセルは、ピアノ奏者、作曲家、理論家として活躍し、ディジー・ガレスピーやビル・エヴァンスといった人達にスコアを提供するだけではなく、Living Time Orchestraという自己のジャズ・オーケストラを組織して、演奏活動を行いました。また、ボストンにあるニュー・イングランド音楽院にて、当時の学長で作曲家・指揮者のガンサー・シュラーにより招聘され、1969年より「リディアン・クロマティック・コンセプト」を教え始めました。

今回のTBAO2012コンサートでは、ラッセルの遺した「クバーノ・ビー」を演奏すると共に、そのニュー・イングランド音楽院にて直接薫陶を受けた山口紀子の新作を演奏する予定です。

以下は、その山口紀子によるエッセイを掲載しました。

George Russell先生の思い出

〜ニューイングランド・コンサバトリーで受けた3年半のリディアン・クロマティック・コンセプト・オブ・トーナル・オーガニゼイションの授業〜

久しぶりにGeorge Russell先生のアルバムを聴いて、長らく思い出すこともなかったRussell先生のリディアン・クロマティック理論の授業を部分的に鮮明に思い出していた。

リディアン・クロマティック理論の授業は、ニューイングランド音楽院の大学生は必修の授業(1学期か2学期の間のみ)だったので、興味のある人もそうでない人も混ざっていた。最初はその人数の多さにびっくりし、大学生は必修だということを知らなかったので、「ここの生徒はずいぶんたくさんリディアン・クロマティック理論に関心があるんだなぁ、すごい!」と思っていたけれど、授業の中での温度差で興味のない人もかなり混ざっていることがのちにわかった。

基本的にRussell先生の授業は作曲中心で、毎週課題が出され、その課題に沿って作曲したものを授業中に本人あるいは生徒の一人が弾いて、それに対しRussell先生が一言二言コメントを出して進めていくという形をとっていた。課題にしっかり沿っていない作品を持っていくと、Russell先生は苦笑いか、スルー、つまり「はい、次の人」となる。ちょっと忙しくて時間のないときに、仕方がないのでリディアンに関係ない他の時に創ったものを持っていったりなんかするとすぐにバレバレで、しばらく宿題の発表の場をもらえなくなる。生徒を励ますとか、生徒だから・・・といった気遣いは一切なし。音楽家同士の一騎打ちというか、ダメな作品は駄目、いいものは良いと言い、とても良いものはその課題の良い例題として彼のコレクションに加えられた。大学生であろうが大学院生であろうが関係ない。いいものはいい、そうでないものはそうでないとハッキリ・クッキリ態度に出されるので、精神的にキツイこともあったけれど、その逆でこれはいいと言われた時は本当にうれしかった(ここでのいい作品とそうでないものの境界線は、出された課題に沿ってどれだけ音楽的でありかつ新しい境地を切り開いている作品かという意味)。
授業は作曲だけではなく、楽曲分析もあった(ラベルやスクリアビン等の作品をリディアン・クロマティック・コンセプトで分析していくというもの)。

自分の音楽、ことさらリディアン・クロマティック・コンセプトに関することには、彼の中に確固とした何かが築かれていた。その当時助手をしていたBenの言っていることが生徒にうまく伝わっていないなぁとRussell先生が感じると、自分で例題を弾いてくれた。今となっては、Russell先生が自分の言っていることを人に伝えるためにポロポロと弾いてくれたあの時間が一番貴重な体験だったかなと思う。彼自身も考えながらポロポロと、こうやったらうまく伝わるか、いやこう弾いたらどうかと試行錯誤しながら弾くので、その考え方の骨組みもわかって、とても勉強になったことを憶えている。「あぁ、こういう感覚のことを言いたかったんだ…」と、肌で彼の考えが伝わってきた。そんなことを考えているともうその当時にタイムスリップしたくてしかたなくなってしまう。今ではRussell先生はもうこの世にはいなくなってしまったけれど、奥さんのアリスさんの話では、晩年は部屋に閉じこもってリディアン・クロマティック理論の残りの部分の執筆活動に集中していたとか。その様子はあたかも子供がお気に入りのおもちゃを楽しそうにいじっているようだったと話してくれました。リディアン・クロマティック理論の本は出版されてはいますが、それは理論全体の3分の1でしかないので、残りの3分の2は残念ながら出版されないまま、Russell先生は旅立たれてしまいました。

とても澄んだ高めの声で、やわらかくきれいな発音で話される英語と、いくつになっても決して曲がらない腰というか、背筋が常にピンと張っていてとても70代とは思えないカッコよさ…外観のイメージを今でもはっきりと思い出すことができます。最期までクリエイティブで、決して妥協を許さない、静かな活火山のような人でした。
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2012年08月17日

コンサート・プログラムの紹介その4「Clarinet A La King」

TBAO2012コンサート・ツアーでは、
TBAO2012 Plays Music of Bach, Ellington, Russell and Others
〜アンサンブルの進化と変遷1〜
と題して、主に、過去100年程のジャズの歴史の中から、ラージ・アンサンブルの為に書かれた作品を選んで、時代、年代が進むにつれて、どのような変化を遂げていったのかを聴いて頂けるような選曲を企画しています。そこで、このブログでは、演奏予定の楽曲のプログラム・ノートを少しずつご紹介していきます。

Clarinet A La King
composed and arranged by Eddie Sauter



前回のプログラム・ノートでは、エリントン楽団までご紹介しましたが、いわゆるスウィング・ジャズの全盛期の1930年後半から40年代前半に掛けて、エリントン楽団以外にも、商業的に北米だけではなく、世界的な規模で成功したビッグ・バンドが多数存在しました。カウント・ベイシー、グレン・ミラー、トミー・ドーシー、アーティー・ショウといったバンド・リーダー達に率いられたグループにより、いわゆるビッグ・バンドあるいはダンス・バンドのための音楽といったスタイルが確立され、これらのダンス・バンドのレパートリーとして、より緻密なオーケストレーションを施したスコアが要求されて、それを提供する作編曲家が重要視されるようになって来ました。

アーティー・ショウと並んで、クラリネットを吹くバンド・リーダーとして自らのバンドを率いたベニー・グッドマン(1909〜1986)もまた、「キング・オブ・スイング」と呼ばれるほどの大変な成功を収めました。彼は、まだまだ人種差別が激しかった時代に、肌の色に関係なく、多くの優秀なミュージシャン、アレンジャーを登用しただけではなく、当時ダンス・フロアーで踊るための音楽として認知されていたスイング・ジャズを、それ自体を鑑賞する為の音楽として、コンサート・ホールに持ち込んだ最初の人物として知られています。

ベニー・グッドマン自身は大変なクラリネットの名手で、ジャズに限らず、ストラヴィンスキーやバルトーク、コープランド、バーンスタインといったクラシック作曲家達からも作品の提供を受け、多くの初演及び録音を手掛けました。

今回ここで取り上げる"Clarinet A La King"という作品は、エディー・ソーター(1914〜1981)という作編曲家が、1940年頃グッドマンの為に書いたオリジナルで、後期ロマン派のクラシック音楽から影響を受けた複雑な転調を伴った和声、緻密でメカニックなオーケストラと大変技巧的なソロ・クラリネットのサウンドは、明らかに他のダンス・ミュージックとしてのビッグ・バンド音楽と、一線を画しています。

作曲者のソーターは、その初期のキャリアではドラム奏者として、また後にトランペット奏者として活動していましたが、ニューヨークにあるコロンビア大学とジュリアード音楽院で音楽専門教育を受けたうえで、クラシック音楽のフィールドではなく、自身もバンド・リーダーとして、またブロードウェイにスコアを提供する作編曲家として活躍しました。
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2012年08月10日

コンサート・プログラムの紹介その3「Upper Manhattan Medical Group」

TBAO2012コンサート・ツアーでは、
TBAO2012 Plays Music of Bach, Ellington, Russell and Others
〜アンサンブルの進化と変遷1〜
と題して、主に、過去100年程のジャズの歴史の中から、ラージ・アンサンブルの為に書かれた作品を選んで、時代、年代が進むにつれて、どのような変化を遂げていったのかを聴いて頂けるような選曲を企画しています。そこで、このブログでは、演奏予定の楽曲のプログラム・ノートを少しずつご紹介していきます。

Upper Manhattan Medical Group
composed and arranged by Billy Strayhorn



先のプログラム・ノートでは、エリントンの比較的初期作品「ブラック・アンド・タン・ファンタジー」を紹介しました。時代は少し進んで、1930年頃からエリントンはビリー・ストレイホーン(1915〜1967)という大変優れた作曲家を迎えました。ストレイホーンは、正にエリントンの右腕としてその才能を発揮し、「Take the A Train」や「 Satin Doll」等誰もが知るエリントン楽団の代表曲だけではなく、「 Lush Life」や「 Chelsea Bridge」といった美しくも妖しい佳曲から、「Such Sweet Thunder」、「Far East Suite」等ビック・バンドの音楽の概念を超えた大掛かりな作品まで遺しています。この「アッパー・マンハッタン・メディカル・グループ」という曲は、御大エリントンとストレイホーン自身の主治医として付き合いのあったArthur C. Loganという人に因んで、書かれたものだそうです。
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2012年08月08日

コンサート・プログラムの紹介その2「カンタータ No.118(バッハ)」と「Black And Tan Fantasy」

TBAO2012コンサート・ツアーでは、
TBAO2012 Plays Music of Bach, Ellington, Russell and Others
〜アンサンブルの進化と変遷1〜
と題して、主に、過去100年程のジャズの歴史の中から、ラージ・アンサンブルの為に書かれた作品を選んで、時代、年代が進むにつれて、どのような変化を遂げていったのかを聴いて頂けるような選曲を企画しています。そこで、このブログでは、演奏予定の楽曲のプログラム・ノートを少しずつご紹介していきます。

Cantata No.118
composed by Johann Sebastian Bach



J.S. バッハ(1685〜1750)は、その65年程の生涯でおよそ200曲の宗教的な題材の教会カンタータ、約20の世俗カンタータ曲、そして6つのモテットを遺しています。ライプツィヒ時代の1737年頃に作曲された「 O Jesu Christ, meins Lebens Licht(おおイエス・キリスト、わが命の光)」の第1稿は、金管楽器のみで構成された器楽アンサンブルと4声合唱のための単一楽章の作品で、カンタータまたはモテットと分類されています。バッハは、恐らく野外での演奏を想定してこのような編成のために作曲しましたが、後にオーボエや弦楽器のセクションを加えた第2稿も遺しています。今回のコンサートでは、金管楽器に書かれた器楽アンサンブルのパートを、4本のトランペットと4本のサクソフォーンとベース(通奏低音)に、合唱のパートは4本のトロンボーンに編曲したものを演奏します。

Black and Tan Fantasy
composed by Duke Ellington, Bubber Miley
arranged by Duke Ellington



1927年にエリントンとミレーによって書かれたこの曲は、エリントン楽団によって何度もレコーディングされ、また1929年の映画「Black and Tan」のなかでフューチュアーされています。現代のジャズ・トランペット奏者ウィントン・マルサリスは、この曲に関して以下の様にコメントをしています。
「エリントンは、ニュー・オーリンズでのお葬式の時に演奏される音楽を元に、この曲を創りました。だから、懐古と哀愁の念を感じながら演奏されなければいけません。音楽に込められ死者を思う気持ちや魂や情念といったものが、葬儀の列を模したマーチのパルスを伴って、表現されているのです。〜ウィントン・マルサリス」
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